路地裏の少年

真夜中の校舎の
白い壁に
訣別の詩
刻み込んだ
朝焼けのホームに
あいつの顔
探したけど涙で見えず
「旅に出ます」書き置き
机の上ハーモニカ
ポケットに少しの小銭
さよならの
意味さえも知らないで
訳もなく砕けては
手のひらから落ちた
あれは 俺16
遠い空を憧れてた
路地裏で

アルバイト
電車で横浜まで
帰る頃は午前0時
古ぼけたフォーク・ギター
窓にもたれ
覚えたての「風に吹かれて」
隣りの部屋
あの娘に声をかけて
いつしか二人で
過ごす夜ごとに
やさしさの
意味さえも知らないで
訳もなく砕けては
手のひらから落ちた
あれは 俺17
細い身体抱きしめてた
路地裏で

赤茶けた
工場の高い壁に
倒れかけた帰り道
家を出て始めて
故郷の母に
"元気です"と赤電話
狭い部屋で
仲間と夢描いた
いつかはこの国
目を覚ますと
裏切りの意味さえも
知らないで
訳もなく砕けては
手のひらから落ちた
あれは 俺18
肩すぼめて待ち続けた
路地裏で

口づさめば
悲しい歌ばかり
届かぬ想いに胸痛めて
今日もまた
呼ぶ声に答えては
訳もなく砕かれて
手のひらから落ちて
今は 俺22
始めて知る
行き止まりの
路地裏で

1977.3.12広島カワイマンスリーコンサート
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